当サイトのご意見番Mr.Okudaが船にまつわる英語について解説してくれます。


船の豆知識---By N. Okuda Aug.2004

■自己紹介---
 私はもともと船乗りで、今はある船員教育機関にいます。海外に行って みたいと船員になることを夢見ていた中学生のころ、初めて出会った外国人が 日本をヒッチハイクして旅していたニュージーランド人でした。

 その後、練習船の航海実習で3ヶ月世界一周に出て、アメリカ(ロングビーチ)、 イギリス(サザンプトン)、イタリア(ローマ)、南アフリカ(ケープタウン)、 シンガポールを、実習をしながら寄港しました。(ラッキーでした) 中でも、ロンドンは非常に良い思い出が残っており、もう一度行きたいと かねがね思っていたところ、実習から約30年後、海外派遣で2年間アフリカに 行ったとき、ロンドンに立ち寄ることが出来ました。30年たっても、 ロンドンの町並みは昔と同じで、古いものを変えずにしっかり残している 姿勢に何か親しみを感じたのです。

 派遣された国もイギリスの旧植民地で、使っている英語はイギリス英語でした。
イギリス英語は聞いていてきれいな「音」だと感じております。帰国して 4年、日本語ばかり使っていると英語はすっかり忘れてしまいましたが・・・。
ところで、この記事は、機関部の船員であった私も普段何気なく使っていた 専門用語の由来を知らなかったことがあり、それを知りたいと思い、ネットや 専門書で調べてみました。「へー」と思うことがいっぱいで、何かの参考に なれば嬉しく思います。

 最後に、世の中便利になりまして、インターネットでかなり調べることが出来、 喜んでいます。また、よくここまで調べたものだと感心しました。調べさせて いただいたWEBページの方々に感謝いたします。


船の用語には、昔からバイキング船や大航海時代を経験したヨー ロッパで生まれたものが多く、海外に活路を求めたイギリス、即ちBritish Englishにも多くの用語があり今も現役です。英語の勉強に 少しでも参考になればと思い、船の豆知識というより、雑学をいく つか紹介します。面白いことに、船の用語には飛行機との関連も深 いのです。
なお、資料収集にあたっては、ウェブサイトや専門書などを参考にしました。

1.船の右舷(starboard)と左舷(port)の由来

船の右側(右舷という)を英語ではスターボード(star-board) という。昔の船(バイキング船)では、舵は必ず右舷に付いていた ので、右舷のことを操舵する舷=スティアボード(steer-board)と 呼んでいたのが、訛ってスターボードになったという説がある。 反対側の左舷はポート(port)という。舵が右舷にあれば、港につ くときは舵のない左舷側になる。つまり港(port)側の舷だからポ ートとなった。
 
ただしこのポート(左舷)という呼び方が一般的になったのは19 世紀半ばになってからのことで、それ以前は「ラーボート (lar-board)」と呼ばれていた。 映画マスターアンドコマンダーでも、ハード ラーボード (左いっぱいに舵をとれ)と言っている。
これは「積荷をする舷―ラドボード(lad-board)」が訛ったもの とされているが、これをポートに変えたのは英国と米国の海軍で、 理由はスターボードとラーボードが発音上まぎらわしく、取り違え て事故原因にもなったためで、日本の海上自衛隊でも、「みぎげん(右 舷)、ひだりげん(左舷)」と区別しているらしい。
左舷=港側というこの伝統的な考え方は、そのまま航空機にも引 き継がれ、旅客機などの出入口は、機体の左側に付けられている。 右側にもある場合はケータリング用に使われているのはご存知の通 り。飛行場をAirportというのは、船の用語から来ているのは明白 である。


(練習船はりうす)

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2.「ポート」の意味は、城壁の「門」だった

 港を表す英語には、portとharbour の2つがある。portの語源 は、ラテン語で「門」を意味するportaから来ており、portaの語 源をさらにさかのぼれば、「運ぶ」の意味のportareになるとのこと。 つまりポートには、「国家や都市と外の世界との間で物を搬入したり 搬出したりする場所」という意味がもともとあったわけで、現在で も、物資の輸送に関連する商業のための港といったニュアンスが強 い。

 一方、ハーバーの語源は、古代英語の「軍隊(here)」+「かくま う(beorg)」で、外海から遮蔽され、船が安全に停泊できる場所を 表す。つまり、本来「避難のための港」といった意味が強かった言葉 である。
 
 こうしたニュアンスの違いから、現在でも、主に商船や貨物の輸 送に関連した分野でportが使われ、港湾関係の分野でharbourが 使われることが多いようだ。
例えば、ポートの場合、port of registry(船籍港)、port mark(貨 物の仕向地マーク)、port of departure(発航港)、port charge(港 費)などがあり、ハーバーでは、harbour master(港長)、harbour limit(港域)、harbour regulation (港則)、harbour light(港口 灯台)などがある。日本語の「港湾」を英訳する場合は、一般に「port
and harbour」が用いられている。


(モーリシャス港)

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3.船も飛行機も交通ルールは同じ右側通行が原則

飛行機は、夜には翼の左端に赤、右端には緑のランプを点灯させ て飛ぶのを、夜の飛行場で経験した方もいるだろう。
飛行機の交通ルールは昔からある船と同じで、どちらも右側通行 が原則である。従って、船も夜間の航行では同じように、左舷(port ) に赤ランプ、右舷(starboard)に緑ランプを点灯して走る。
 
 左・右のランプを船では舷灯といい、前方と斜め後方の間しか見 えないようになっているので、夜間に船がすれ違うとき、相手の船 体がまったく見えなくても、赤のランプだけが見えれば、相手の左 側を航行、すなわち右側通行していることが確認できる。
もし赤と緑の両方が見えれば、お互いがほぼ真向かいに航行して いることになり、衝突の危険があるので、この時はお互いが右に進路を変えて衝突を避けるのがルールとなっている。


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4.船の「トン(ton)」は酒樽を叩いた音からきている

 船の大きさは、トンという単位が使われているが、これは酒樽を 叩いたときの"トン"という音に由来する。15世紀頃、フランスから イギリスへワインを運ぶ船の大きさを表すのに使われ始めたものだ という。ワインの樽をいくつ積めるかで、船の載荷能力を示した。
 
 トンには、重量トン(deadweight ton=2240 pounds)、総トン(gross ton)などがあり、当時の酒樽1個の容積は約40立方フィート。こ れにワインをいっぱいに詰めると2,240ポンドになり、これをメートル法で表すと1,016キログラム になる。このため、以前のイギリスの単位では、1トンは1,016キログラムだったが、現在ではメ ートル法が適用され、1,000キログラムが1重量トンになっている。

 容積も、かつては大酒樽(tun)1個を単位としていたが、こちらも 現在では、100立方フィート(100 cubic feet)が1総トンとなって いる。 ちなみに、和船の大きさを示す何石という単位も、積荷である米 の石高からきている。洋の東西を問わず、その時代時代の代表的な貨物が、船の大きさを表す単位になっているわけで、船がいかに人 間の暮らしに密着した輸送機関であったかがよくわかる。

参考:Webサイト:日本船主協会及び個人ページ、専門書など


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